ジッポーが登場する映画の一覧は米ジッポー本社のサイトに掲載されているが、「ファイト・クラブ」もその名を連ねている。ただ、タイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)や"ジャック"(エドワード・ノートン)らがジッポーを使用するシーンは見当たらない(使い捨てライターばかり)。が、ちゃんとスクリーンには登場している。
ジャックが上司にコピー機に「ルール」を書いた紙を忘れて咎められる際、タバコを吸っているジャックの灰皿の傍らにジッポーが置かれているのだ。
ファイト・クラブのメンバーは、手にキス・マーク(の火傷痕)を持つ。ブルーレイ版を見ると、"Never Been
Kissed"という架空の映画に驚かされることになる(写真のジッポーは2009年製"Hot Lips")。
ストーリーの秀逸さもさることながら、タイラー・ダーデンの
衣装は強いインパクトがある。オリバー・ピープルズのサングラス(OP-523)、赤いレザー・ジャケット、1970'sのデカ襟シャツなど、どれをとってもタイラー・ダーデンの為人を象徴している。右のサングラスはアート・リンゾン氏(プロデューサー)が所有していた映画で使用された実物である。根強い人気のOP-523は、10周年時(2009年)にチタンフレームで復刻されている。
映画で使用されたレザー・ジャケットはフランスの古着屋で見つけられた1970年代のモノであり、メイヘム計画のライダース・ジャケットは映画用のワンオフである(左写真はMaxCady製レプリカ)。
前者は「サタデー・ナイト・フィーバー」のトラボルタにインスパイアされた時代を超えたアイコンであり、今尚その魅力を放ち続けている。
単なるアウトローではなく俗物世界から離脱した哲学者タイラー・ダーデンは、現代を生きる我々のマインドに深く刻み込まれ、いつしか自分の中にタイラー・ダーデンを見出すときが来るかもしれない。
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