インディ・ジョーンズとZIPPO
「インディ・ジョーンズ」でジッポーが活躍するのはシリーズ3作目の「最後の聖戦」だ。キリストが最後の晩餐に使ったという聖杯。その聖杯の手掛かりとなる石版を探して教会の地下壕に潜り込んだインディ(ハリソン・フォード)と案内役のシュナイダー博士(アリソン・ドゥーディ)。シュナイダーが自前のジッポーを着火、それを明かりに二人は地下壕を進む‥‥。このジッポーの柄はアイルランドのクリスマスで用いられる「幸運の四葉のクローバー」(左写真はMaxCadyによる復刻版。2010年製)。ミイラの骨と布切れで作った松明に火を移した後は、シュナイダーではなくインディのポケットにしまわれる。
ヘンリーが監禁されている古城をつきとめ、シュナイダーと助けにいくインディだが、シュナイダーに裏切られあえなく捕らえられてしまう。ここで先程のジッポーが再登場する。後ろ手に縛られたロープを燃やそうと、インディに言われてポケットからヘンリーが取り出す。慣れないヘンリーはジッポーを落としてしまいあえなく失敗、たちまち部屋は火事になってしまう‥‥。同じ頃、古城を後にするシュナイダーはまた別のジッポーでタバコに着火している。よほどのジッポー愛好家とみられる。
実はシリーズ2作目の「魔宮の伝説」以外、すべてジッポーは登場する。シリーズ1作目の「レイダース/失われた聖櫃(アーク)」では、物語の最後でインディは聖櫃の処遇について陸軍諜報部と会談するのだが、その席で陸軍諜報部の人間がジッポーでパイプに着火する。またシリーズ4作目の「クリスタル・スカルの王国」では、ペルーで待ち構えているマック(レイ・ウィンストン)がジッポーで葉巻に着火、後にインディの松明に火をつけるシーンもある。
インディ・ジョーンズ「ギア」
インディ・ジョーンズと言えば帽子がトレードマークである。最初の「レイダース」製作に際し、衣装担当がイギリスの老舗帽子工房であるハーバート・ジョンソン社にインディのイメージのフェルトハット製作を依頼、以降シリーズ3作目までこのフェルト・ハットが使用されている。4作目では、これを元に「帽子を作ることを趣味としている男性」が製作したとされている。
次に特徴的なギアはやはり革ジャンである。これも帽子同様、イギリスで映画衣装を手がけるウェスティッド・レザー社に製造が依頼され、3作目までこのウェスティッド社製のレザー・ジャケット(ラムスキン)が使用された。ただ3作目の「最後の聖戦」では少し変更が加えられている(ジッパーの上下にスナップ、襟はやや大きめでとがっている)。4作目では現地L.A.の革職人がこの「最後の聖戦」モデルを原型に牛革で製作している。
なお「レイダース」のハーバート・ジョンソン社製のフェルト・ハットとウェスティッド社製のレザー・ジャケットは、スミソニアン博物館に収蔵されている。
他にもオールデン製のブーツやデビッド・モーガン製のムチ(1~3作)などのギアがあるが、4作を通じて共通の「こだわり」インディ・ギアはバッグである。これは第二次大戦のイギリス軍のガスマスク用バッグ(1941-42年製)であり、革のストラップがカスタムで付けられたものだ。
ちなみに4作目で登場するマット(シャイア・ラブーフ)の服装は、映画「乱暴者」(1953年)のマーロン・ブランドをモチーフにしたライダース・ジャケットとバイカー・キャップであり、次作があるとすれば以降の展開が気になるところである(4作目の最後で、マットがインディの帽子を被ろうとしたら奪い返している)。
|