ロッキー(シルベスター・スタローン)はボクサーであり喫煙具とは無関係だというイメージがあるが、1作目では普通にタバコを吸っており、5作目で経理に騙され破産した後、またタバコを吸いだしてしまう。この5作目で金属製のライターで着火するシーンがあるが、ジッポーかどうかは確認できない。なお、ジッポー社によれば「ロッキー4」でジッポーが登場するシーンがあるそうだ(筆者は未確認)。左のzippoは1985年「ロッキー4」公開当時アメリカで販売されたものだ。「ジッポー博物館」にも掲載されているが、現在ではまず出物を見つけることができないビンテージ物である。
当時はまだ冷戦下であり、ソ連が国家的に鍛え上げたドラゴ(ドルフ・ラングレン)と対戦するというストーリーだが、映画にはゴルバチョフ書記長(のそっくりさん)が登場する。そして、試合を終えたロッキーの「皆変わることができる」というインタビューに拍手を送るのだ。当時この映画をレーガン大統領は賞賛し、逆にソ連からは批判されたが、奇しくもこの年最初の米ソ首脳会談が行われ、回を重ねて米ソ関係は改善し冷戦は終結することになる(右はレーガン・ゴルバチョフの米ソ首脳会談の記念ジッポー、1988年製)。
話をロッキーに戻そう。ロッキーは革ジャケット、革手袋、帽子を「ロッキー」「ロッキー2」の下積み時代に着用、中盤のバブリー時代には着ていないが、「ロッキー5」で破産、物置からまたこれを出してきて着用する。なおシリーズを通じて下積み時代の回想シーンは、この衣装である(左のジャケット・手袋はマックス・ケイディ製の復刻版、帽子はゴールデンゲート製)。
前半のサクセス・ストーリーと異なり、後半は悲哀に満ちたヒューマン・ドラマとなるが、シリーズを通じてロッキーことスタローンが伝えたかったメッセージは一貫している(と私は解している)。それが何かは、是非またもう一度、全6作を見ていただきたい。
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